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建設趣意
世界に平和を、人間に自由と平等を……これは全人類の悲願であります。我が国における同和問題は、まさにその基本的課題であります。政府、国会においては、この問題の根本的解決をはがるため昭和44年、同和対策特別措置法の制定公布を行い、本問題が国および地方公共団体の責務であるとし、同時に国民的課題としてその生活環境の改善、福祉の向上、職業産業の振興及び教育対策の充実強化等々、総合計画の樹立と実践につとめ多くの成果をみているのであります。
然しながら、本法の有効期限を実績あと2ヶ年に控え、過去8ヶ年間の経過を省みるときあまりにも多くの事業量の堆積を憂慮しないわけにはまいりません。申し上げるまでもなく、本問題の解決は、ひとり環境改善事業の実施に求めるものでなく、広く学校教育はもとより社会教育の分野にわたり、同和対策の位置づけと教育実践が要請され、全国民一人一人の理解と認識こそ極めて重要であります。本問題こそは、まさしく人間関係による交流と親善、対話と協調、和と連帯の社会行動によって培われるものであることは今更申すまでもありません。
我が国の政情は混迷の一途をたどり、社会的、経済的諸条件は必ずしも楽観を許さない状況にあります。本問題を全県民運動として強力に推進するためには、社会変化と多様化に対応する組織機構の充実と、効率的かつ合理性に富んだ拠点の確保は必須の命題であるといえます。今回財団法人白鳳社を設立し、各界の理解と協力を得て白鳳会館を建設し、総意を結集してよく初期の目的をよろしく趣旨ご理解の上、格別のご協力をお願い申し上げます。
(昭和53年1月)